環境マーケティングは、社会にとっても、企業にとっても必要そうですが、そもそも「環境」についてマーケティングをやってうまくいくのでしょうか?マーケティングの基本は、商品の差別化です。対象となる商品が市場において区別され、それに対する市場の支持が得られることです。したがって、環境マーケティングにおいても、

あの企業は環境にこんな取り組みを行っている、だから、この企業のものを買いましょう!

なんていうことにならないと、成功したということにはなりません。消費財市場で、一般消費者は、どの企業がどんな環境問題にどんな取り組みをしているのか知っているのでしょうか?知ったとして、それをどう評価してくれるのでしょうか?これはたいへん難しいように思われます。

それでも、企業の環境への取り組みに市民の目が向くようになったのも事実です。単に「取り組んでいます」だけではなく「何に取り組んでいる」かにも関心は高まっています。しかしながら、そうだとしても、それがそのまま企業に対する支持につながるとも限りません。環境問題については外部経済性という問題が発生するとはすでに述べました。外部経済性のあるところでは、フリーライダー(ただ乗り)という問題が発生します。つまり、実は、ある企業の環境への取り組みを評価していたとしても、商品の購入に関しては、

それはそれ、これはこれ

となってしまうということです。そこまではっきりしていなくても、たとえば、環境に配慮して生産された米が2割高で売られて、そうした農家を支持しなければ・・・と思っていたとしても、

まぁ、私みたいな貧乏人が支持することはないわな。もっとお金持ちの人が買い支えてくれるでしょう。

ということで、安い米を買ってしまう状況です。すべての人がこうだとすると、環境マーケティングはうまくいくはずがありません。現実には、そういう人もいるし、環境配慮の商品を買い支えようとする人もいるようです。問題は、その割合で、将来的には、後者の割合はどうなるのかということも気になります。こうしたことも含めて、環境マーケティングを考えていかなければなりません。

企業活動の社会的コントロール

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