キャベツ6 エピローグ

キャベツのおもひで(エピローグ)

私の学生時代は貧しかった。だから東向きの六畳一間でせっせと自炊していた。自炊といっても朝卵飯、昼出前一丁、夜ククレカレーと言った具合で、カネがなくなると飯ばっかりということもしばしばだった。
実家から米は送ってくれたので毎朝五合の飯を炊いて、それをメインに食えそうなものはなんでも食っていた。ゴマをかけてこれは栄養があるなぁ~と一人感じ入って食ったこともある。大豆はタンパク質だからと具のないみそ汁をどんぶり一杯食べたこともある。そんなんだから野菜は慢性的に不足していた。
そんなときキャベツは重宝した。けっこう日持ちするし、そのままかじるとサラダだし、煮込むと野菜スープ、炒めると野菜炒め、これに卵かなんか落とすと大変リッチな感じがした。キャベツしか入っていなかったが・・・。

一回生のとき体育会の某部に所属していた。この部は宇治で練習していて、練習がオフに入るときにレクレーションとして競馬ならぬ競”人”をやっていた。一回生を走らせて結果を先輩が予想するわけだ。「宇治ステークス」と呼ばれていた。
走るのが主体のこの部にあって私の足は遅いほうだったが、ハングリー精神が買われ、ダークホース(ダークマンか?ちょっといやだな)に指されていた。
「キャベツだけで五合の飯を平らげる男!」
が紹介記事だった。続いて
「最近足を痛めたようだが賞金3000円につられどこまで頑張るかが見物」
とあった。そのとき私につけられていた馬名は、
「キャベツ5合」
だった。
だらだらと続いた「キャベツ特集」でしたが以上で終了します。ご愛読ありがとうございました。

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