調査の概要:食品からの被ばくについての消費者アンケート(1)

調査の方法

みなさまのご協力を得て、昨年12月から実施しておりましたアンケート「原子力発電所事故に伴う食品からの被ばくについての消費者意識調査」ですが、締め切りは1月5日だったのですが、回収が長引いてしまいました。さすがに、返信も途絶えましたので、これから集計結果を公表していきます。

配布は、2011年12月12日ごろから、日本郵便のタウンメールサービスを利用し、宛名無しで行いました。配布先は、郵便番号をいくつか選び、選ばれた郵便番号が該当する住所の全戸です。郵便番号の選び方は、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)のうちで、住宅地に該当すると思われるものを任意に選びました。対照として、関西(大阪、京都、兵庫)にも配布しましたが、配布先の選定は、首都圏と同様です。

配布したアンケート調査票は、別途添付しておきます。調査のお願い(PDF:278KB) 調査票(PDF:378KB)

回収数

配布数は、首都圏が4949、関西が1045、計5994です。回収数は、全部で727。回収率は、12.1%でした。都府県別の配布数と回収率は、図 1のとおりです。

図 1 アンケートの配布数と回収数

なぜ配布先として、首都圏(と対照としての関西)のみで、福島をはじめとする東北地域が含まれないのか、という疑問が当然出されると思いますが、これはアンケートの目的が、公式には安全として流通している食品に対する不安の内実を探ることですので、放射線の影響を心配している人が多い消費地域として首都圏が最適だと考えたたからです。しかしながら、福島やその隣接地域にもアンケートの配布ができなかったかといえば、そういう訳ではありません。福島やその近接地域の人に、こうしたアンケートを配布するのに気が引けた、というのもあります。アンケートは、放射性物質汚染に対する不安とそれへの対処を聞くと同時に、そうした不安を過敏すぎるという人にも答えやすいように配慮して設問と選択肢を用意しました。そうしないと、アンケートで不安を煽ることになるからです。しかしながら、原発近隣地域の人は、放射性物質汚染の不安がありながら、それから逃れられない状況にあり、もしかしたら考えないようにされているかもしれません。そうしたところにこのようなアンケートはあまりに酷かと感じた訳です。しかし、首都圏でも、それは同じことだったかもしれません。次のようなお叱りもいただきました。

このアンケートは不安心理を助長するものと思われます。食品からの被ばくからどのようなことが起こるのか結果が出ているのでしょうか?3月12日以来、約1か月、風向、雨等を気にかけながら日々過ごして来た私共です。関西の京都地方の人々に、おさまりかけてきた不安(被ばくに)を助長されたくない。家族全員怒っている。

本当に申し訳ありません。

また、ずいぶん回収率が低いのですが、その理由としては、上述のような事情で、アンケートを見たくもないという方もいらっしゃったかもしれませんし、アンケートが大部であったことも大きかったと思っております。A4用紙12ページ、全69問。答えるのに5分や10分では無理です。それでも、最後まで根気よく、そして、中には気分を害しながら、回答してくださった727名の方には、感謝してやみません。

回収率の低いアンケート結果の解釈は注意が必要です。通常、アンケートのテーマに関心が高い人の割合が多くなってしまうからです。今回も、比較的放射性物質汚染に関心の高い人が回答してくださったと考えて、結果を読む必要があります。しかしながら、上述のような事情もありますので、「考えないようにしている」あるいは「考えたくない」人からの回答も、もしかしたら含まれていないのかもしれません。

回答者の属性

はじめに、回答者の性別や年齢などの分布について簡単に紹介しておかねばなりません。まず、性別ですが、女性の方がやや多いです(図 2)。

図 2 回答者の性別(SA:N=727)

※SAは単一回答、MAは複数回答、N:全回答数のことです。

年齢は、60歳代が最も多く、50歳代、40歳代、70歳代の順に続きます(図 3)。比較的高齢の方からの回答が多いです。ただし、我々が通常行う、食品リスクや環境配慮型農産物についてのアンケートと比べると、40歳代30歳代の人の割合が高くなっています。これは、アンケートの主な配布先が首都圏の住宅地に限定したからだと思いますが、今回のテーマについては、比較的若い人の関心が高いからなのかもしれません。

図 3 回答者の年齢(SA:N=727)

 職業は、主婦または主婦が最も多く、続いて、会社員、現在は仕事をしていない(定年退職後の人を含む)、自営業、パート・アルバイトと続きます(図 4)。

図 4 回答者の職業(SA:N=727)

 世帯全体での年収は、図 5の分布となりました。

図 5回答者の世帯年収(SA:N=727)

 

回答者のプロフィールは、おおよそ以上のとおりです。次に、回答者が放射性物質汚染をどの程度不安に思っておられるかを見ていきます。

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