遺伝子組換え食品アンケート

現在、遺伝子組換え食品についてのアンケート調査を実施中です。

12月3日に全国の7169のご家庭にアンケート調査票を送付させていただきました。

調査の目的は、一般の消費者の方が、遺伝子組換え食品について、どれくらいご存じで、どのような不安を感じておられるかを、できるだけ実態に近い形で把握することです。

従来、この手のアンケートは、きわめて単純な仮説に基づいて行われてきました。たとえば、
「消費者は遺伝子組換えについてよく知らない」
→「遺伝子組換えについてよく知っている消費者は、理性的な判断をしている」
→「もっと、遺伝子組換えについて教育すべきだ」
といった類です。

消費者は遺伝子組換えについてよく知らないかもしれない。しかし、それはなぜなのでしょうか? なぜ、消費者は遺伝子組換えについて情報を集めようとしないのでしょうか?

科学的に言えば、遺伝子組換え食品の安全性は高いと言う人がいます。遺伝子組換え技術の必要性を説く人がいます。そのことを消費者が知れば、遺伝子組換え技術に対する抵抗感はなくなるのでしょうか?

消費者が遺伝子組換え食品の安全性についてよく理解していないのは、それなりの理由があるはずだ。消費者の漠然とした不安には、それなりの理由があるはずで、それに目を向けることが、社会的な議論を進める条件となるのではないか。そうした考え方を基礎において、アンケートでは、遺伝子組換え食品の安全性についての議論をできるだけ広く紹介して、それらについて、どう思うかを聞きました。

このため、アンケート調査票が16ページ90問という、答えるのにたいへんなものとなってしまいました。いきなりこのようなアンケート調査票が送りつけられて、戸惑う方も多数おられるでしょう。心苦しい限りですが、これによって、遺伝子組換え食品の安全性について、消費者側からの情報発信ができればと思っています。

リスクコミュニケーションには限界があります。安全かどうか、わかりやすく説明しようとすると、正確な説明ができなくなります。正確に説明しようとすると、わかりやすさを損ないます。結局、安全だと言う人を信頼できるかどうか、ということになりますが、人を信頼してよいかどうかも、難しい話です。

相手の言うことは信頼できないかもしれない。相手が本当のところ何を考えているのかはもっとわからない。そのような関係でも、お互いが何を求め、何を心配しているかがわかれば、無益な争いは避けられます。

今回のアンケートは、消費屋が遺伝子組換えについてどれだけ理解していないかを明らかにするものではありません。むしろ、遺伝子組換えの専門家や、政府の描いている消費者像が正しいのかどうかを検証するものです。そのことが、適正なコミュニケーション、ひいては政策決定につながるものと考えています。

12月3日に配送して、すでにいくつかのご回答をいただきました。大部な質問票にもかかわらず、みなさん熱心にご回答いただき、頭が下がります。そのひとつひとつに目をとおして、消費者のみなさんの生の声に近づけたらと考えています。

おすすめ