キャベツ5 価格

On 1999-11-09, in キャベツ, 野菜の話, by yoshino

キャベツの価格

スーパーで今キャベツ1個いくらだろうか?
露地野菜というのは価格変動が激しい。生産者の手取りになるともっと不安定になる。なんで露地野菜の価格が不安定かというと、露地野菜は天候の変化を強く受けるからだ。
最近、異常気象と言われる。昔、気象学の先生に、
「気象なんて長い年月で見ると安定なのが珍しいんだから『異常気象』という言葉はヘンだよ」
と言われたことがある。そりゃおっしゃることはわかります。しかし、それでも、長雨やら、台風やら、最近あまりにひどいんじゃないか?去年の台風なんて、ありゃなんじゃ、という感じだ。

一昨年は長雨がひどかった。結局梅雨が明けなかったもんな。あの年は、稲とかでも実が入らなかったり、倒れたり、大変だったのだから、野菜なんてもっとひどかった。白菜の産地(群馬県昭和村)とかが新聞に出ていたが立ち枯れ状態だった。

しかし、露地野菜の価格変動は、もちろんそれだけではない。露地野菜の場合、需要が硬直的なのが決定的に効いている。供給が減っても買う人がいれば、当然価格は高くなるだろ。
どれだけ値段が高くなっても、やっぱみんな野菜は食べるもんな。

昔、うちの中国の留学生がヨメさんを日本に呼んだときのこと。
ちょうど野菜が値上がりしていた年で、白菜が4分の1切れで2~300円していた。
彼女は白菜を手に取り、震えたという。
それは当時中国の月給の半分の値段だったらしい。
結局、買えなかったそうだが、それでも震えに耐えながら買おうかどうか悩んだらしい。
やはり野菜は必需品なのだ。
野菜を食いたいと言えば、昔よく「どんぼーい」に行った。ダイエーがやっているしゃぶしゃぶの店で、食い放題で1,980円、生ビールのみ放題で1,000円、2,980円でしこたま飲み食いできた。特に、野菜がサラダバー形式で、好きな野菜が好きなだけ食えるのがうれしかった。春菊一束380円というようなバカみたいな値段がついた年でも、そこはダイエー、ちゃんと惜しまず出してくれた。我々は「野菜補給」と称して、ずいぶん通ったもんだ。
野菜を食べれば体が浄化されたような気がする。たぶん、健康情報のすりこみだろうが、せっかく気になるんだから、まあそれでよいではないか。
阪神大震災後のダイエーの店舗整理で京都の店はなくなったが、是非復活して欲しい店だ。蘇れ中内功だ!
もっとも、しゃぶしゃぶにキャベツはおいてなかったと思うが・・・
キャベツの値段が極端に下がった年は、圃場廃棄が行われる。圃場廃棄というのはいわゆる畑のキャベツを出荷せずにトラクターで鋤き込んでしまうことで、よくニュースとかで報道される。小学校の社会科の教科書になんかにも出ていたりする。嬬恋村の場合、平成4年600トン、平成8年1,100トン、平成10年600トン、それぞれ廃棄している。
安くても出せばいいじゃないかと疑問に思われるが、出せば出すほど損になるのだ。

嬬恋の場合、現在キャベツ1ケース(10kg)つくる費用は、農家の労賃を入れずに450円かかっている。圃場廃棄をすれば全てこれがパーになる。しかし、収穫して出荷するには手間とお金がかかる。段ボール代、それに鮮度を保持するための予冷費、出荷場までの費用、こうした単価に関係なくかかる出荷経費が合計で100円、市場までの輸送費が140円、それに市場の手数料8.5%、農協と系統団体の手数料が単価の3%取られるから、市場単価が600円のときで手取りは300円以下だ。生産費450円はとうてい賄えない。
赤字を減らすためとはいえ、そのために畑に這いつくばって重労働はできまい。それぐらいなら、せっかくつくったキャベツだけど、出荷量を減らして相場の回復を待った方がいい。なんせ、キャベツの値段はわずかの出荷量の変動で上下するのだ。

キャベツの値段というのは、市場への入荷が1割増えると3割下がると言われている。

計算してみた。

東京都の中央市場の7月、入荷されるキャベツの量は過去11年平均で15,453トン、平均単価は10kg当たり867円だった。ここを基準に見ると、キャベツの入荷量が1%増えたとき、キャベツの単価は3.0673%低下するという計算になる(両対数単回帰、1988~1998年、その他の変数野菜総平均単価、R2=0.8977、t値1%未満有意)。全く通説通りだ。
600円などというおぞましい値段がついた時でも、出荷量を1割減らせば、値段は800円近くまで回復することになる。

夏秋キャベツの場合、だいたい1ケース800円しないとやってられない。1ケース8玉が標準だから、キャベツ1個100円だ。それに八百屋さんやスーパーの経費が要るから、夏秋キャベツの店頭での値段は1個170~180円ぐらいになってしまうだろう。
スーパーで200円以下でキャベツが売られているとき、キャベツ農家の所得は、家族2~3人で6haぐらいキャベツをつくっている場合で300~400万円というところだ。体が曲がるくらい頑張ってそんなものだ。
農業ってそんなに甘くはないのです。

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