キャベツ3 産地

On 1999-11-09, in キャベツ, 野菜の話, by yoshino

キャベツの産地

  キャベツというのは、アブラナ科ということからもわかるように、元々は春野菜だ。
  しかし、現在では品種や作型の分化が進み、ほぼ完全に周年化されている。八百屋やスーパーでキャベツを見かけない季節はないはずだ。
  消費量も一年を通じてそれほど差がないので、量的にも同じくらい出荷されている。タマネギやニンジン、ダイコンといった根菜並みだ。野菜の周年化が進んでいるとはいえ、こんなに周年化されている葉物野菜は珍しい。

  作型は、収穫時期で、春キャベツ(4~6月)、夏秋キャベツ(7~10月)、冬キャベツ(11~3月)の3つに分けられる。
  それぞれ産地が分かれていて、うまい具合に棲み分けしている。リレー出荷というわけだ。

  春キャベツというのは、関東以西の西南暖地では最もつくりやすいので、いたるところで栽培できる。しかし、なんせ重量野菜だから送料がかさむ。だから春キャベツの産地は都市に近いところが多い。
  京浜市場向けに、千葉・茨城県、それに神奈川県の生産が多い。意外と東京都もがんばっている。関西向けには兵庫県が主要産地だ。

  ところで、ちょうど今頃出回る「春キャベツ」というのがある。柔らかくてシャキシャキしていて生で食べるのにおいしい。
  しかし、あれはここで言う作型の話とはちょっと違う。春系品種のことを言っている。  キャベツの品種は大きく「春系」と「寒玉」とに分かれ、柔らかい方が春系だ。寒玉は硬いやつで、歩留まりが良くて調理に向く。
  お好み焼きなんかを多食する関西では昔から寒玉が好まれる。関西の串カツ屋では生キャベツが出てきて、オヤジがポリポリ囓っているけれど、あれなんかもおそらく寒玉だ。
  だから、春キャベツの産地でも、寒玉をつくっているところがあるし、冬キャベツの産地でも春系はつくられる。当然、夏秋キャベツの産地でも、両方がつくられている。
「秋なのに『春キャベツ』とはこれいかに!」
なんて言ってはいけない。

  冬キャベツは、最後の結球の段階で寒さに負けたりするらしく、暖かいところの方が有利だ。愛知県の渥美半島あたりが一大産地となっている。この辺りは地理的に東京と大阪の間で、気候もよいので、冬キャベツの生産に向いている。
 
  夏秋キャベツは、気候の制約を受ける作型で、冷涼な気候でないと栽培できない。群馬県の嬬恋村が大きなシェアを持っているが、東北・北海道なども多い。
  もともと夏秋キャベツは岩手の「南部甘藍」が有名だった。戦後急速に拡大し、昭和30年代にピークに達した。
  しかし、群馬の嬬恋村や長野県に押されて衰退した。やはり輸送費がかかるというのが弱みではあったんだが、それだけではなくて、品質にも問題があったのだそうな。長野県などが生食に向く品種を導入して食味がよくなったもので、相変わらずの品種で勝負していた「南部甘藍」はたまらない。市場で値がつかなくなってしまった。
  結局、昭和40年代初めには「南部甘藍」は衰退してしまった。
  以降、長野も白菜やレタスが有利だというので、ここでも夏秋キャベツは縮小し、現在は嬬恋村に集中している。全国の夏秋キャベツの3分の1余り、東京市場の3分の2以上が嬬恋産で占められている。
   
  しかし、最近は水田転作の強化で米があんまりつくれないというので、東北の各県ともキャベツ生産の振興に力を入れている。岩手なんか「南部甘藍」を復活するんだということで、県をあげて生産振興をやっている。
  関東では春系のキャベツの需要が多いと書いたが、東北産地はこれに力を入れている。岩手はすべて春系だ。嬬恋が寒玉に偏り春系が伸びなかったので、春系を欲しがる市場関係者が東北産地をけしかけた。
  品質で破れた岩手が品質で勝負を仕掛けてきている。
  産地間競争を勝ち残った覇者嬬恋村であるが、そんなに安穏とはしておれないようだ。
  夏秋キャベツの産地としては、他に北海道の出荷量も多い。
  キャベツは価格の変動が大きいことでよく問題になる。
  こういったら怒られるかもしれないが、夏秋キャベツの場合、北海道の攪乱が原因となっていることは否めない。大半が道内向け出荷なのだが、個人出荷が多く、おまけに規模も大きいので、前年の価格で作付が大きく変わったりする。
  平成5年に夏秋キャベツの価格は暴騰したが、これは嬬恋の収量が落ちたところに、北海道が前年の安値に引きづられ、ガクンと作付が落ちたことによる。しかし、今度は値がよかったというので、ドカンと作付が増え、それ以後の価格低迷をもたらした。ここ1~2年北海道の出荷がまた少なくなったので、幾分値を戻しているが、これでまた出荷が増えるのか?
  気持ちはわかるが、
  「なんとかしてくれよ、おい」
という感じである。

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