市場動向分析は、需要の動向、供給の動向、さらに、市場競争力の動向を、判断するために行います。

あるキュウリ産地のキュウリ価格が最近じりじりと下がってきています。この産地は、どのような市場対応を行えばよいでしょうか?

需要が減った?

ある産地の販売単価が下がっている場合、需給動向として、3つの可能性があります。ひとつは、需要が減退している可能性です。需要が減退している場合、供給が減らない限り、価格は低下します。需要が減退している場合、産地としては、需要を増やすような対策を取らなければなりません。一産地が、需要を拡大できるかといえば、不可能というわけではありませんが、やはりむずかしいものがあります。需要が減退している中では、確実な需要が見込めるニーズに応えた市場競争力の強化がひとつの方向です。キュウリといえば、昔は野菜サラダの青物としてに確実に入っていたものでしたが、最近は水菜なんかに押されてしまいました。それでも、韓国料理などのアジア系の料理に多用されます。こうした需要に応えたキュウリづくりや販売対応を行うことで,需要を確保することができるはずです。他には,キュウリの新たな食べ方を開発し,それを拡大するような品種選択や販売対応をすれば,減退するこれまでの需要とは別の需要を開拓することができるかもしれません。

供給が増えた?

価格低下の2つめの可能性は,供給が増加している場合です。供給が需要と比べて増えている場合,価格は低下します。供給が増加して価格が低下しいる場合,産地間競争はコスト競争力が問題となります。価格低下に耐えられない産地から退出が始まります。生産・販売資材,栽培方法,収穫・調製過程,輸送などの効率性を見直さなければなりません。しかし,コスト競争は,品質にほとんど差がない場合の競争ですから,製品づくりや販売方法を他産地と区別することで,ある程度,コスト競争から逃れることができます。ただし,完全な別物として販売することもむずかしいので,生産・販売の効率化はどうしても求められることになります。

競争力が低下した?

需要や供給がそれほど変わっていないのに,この産地の商品価値競争力が低下していることで価格低下を招く場合もあります。これが3つめの可能性です。商品価値競争力は相対的なものなので,他産地の商品価値評価が高まっている場合でも,自産地の商品価値評価が低下している場合でも,競争力は低下することになります。他産地の競争力向上によるものであれば,対抗策を立てねばなりませんし,自産地に問題があるのならば,その原因を特定化し,対策を立てなければなりません。

このように,同じ価格低下でも,その原因によって,産地としてとるべき市場対応は異なってきます。市場動向分析は,需要や供給,商品価値競争力の動きを判断し,産地が販売対応の方向性を見定めるために役立ちます。

需給動向分析

このうち,ひとまず需要と供給と,そのバランスで決まる価格の動向の分析結果をアップしています。以下のような図表は,東京都中央卸売市場における11月のきゅうりの需給動向です。図表の見方はこちらにあります。青果物の需給動向で,こういう図表を野菜146品目×12か月分,果実98品目×12か月分を見ることができます。(最新版は,過去2010~2019年に対するコロナ禍にある2020~2021年の動向です。) ※競争力の分析については,まだいずれ掲載するつもりです。

 

>>需給動向の9パターン